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ブラジル新大統領にボルソナーロ氏が就任へ: 10月28日の決選投票後の演説
October 31, 2018


2018年10月28日に行われた大統領選挙の決選投票で、社会自由党(PSL)のジャイール・ボルソナーロ下院議員が勝利し、国民に対して以下の内容のテレビ演説を行った。

ボルソナーロ氏は有効票の55.13%(5770万票)を獲得し、得票率44.87%(4700万票)に終わった労働者党(PT)のフェルナンド・アダジ氏を制した。

新政権では、連邦機関の統廃合、官僚制撤廃と行政事務の簡素化を図り、公共支出の無駄、政治的特権を廃すると公約。債務膨張の食い止め、財政赤字の削減、金利引き下げを目標に掲げる。

また、演説では、「労働者党政権下でイデオロギー的に偏向した外務省を刷新し、先進国との緊密な関係を築く」とし、ブラジル製品に経済的・技術的価値を付加し得る国々との二国間関係の強化に努める考えを示した。

ボルソナーロ氏の演説の全文

あなた方国民は真実を知り、真実はあなた方国民を自由にする。

私はこれまで、一度たりとも一人であったことはない。常に、神の存在、ブラジル国民の存在を感じて生きてきた。

国民が望まない、国民に値しない道に突き進んでいくという脅威を前に、男も女も子供も、家族の全員が祈りを捧げたことで、我らが愛する祖国、ブラジルは、何物にも勝る本来の地位を取り戻した。

新政府を、憲法、民主主義、自由を擁護する政府とすることを、今ここに誓う。これは、単なる一政党の約束ではない。一人の男の、空疎な戯言でもない。神への誓いである。

真実が、この大国を解放し、自由によって、我々は偉大な国家へと変化するのである。

真実は、我々をここまで導いてくれた灯台であった。そして、これからも我々の道を照らすであろう。

本日の投票の結果は、単なる一政党の勝利ではなく、一国の自由への祝福を意味するものだ。

我々の国民への約束は、誠実な、ブラジルとブラジル国民だけの利益にコミットする政府にすることである。私はここで、そのような政府の実現を確約する。

我々の政府は、今この瞬間、私の言葉を聴いている一人ひとりと同じ意思を持つ人々で構成される。我らがブラジルを大きく、自由で、繁栄した国家へと変化させるという意思を同じくする人々である。

我々はそのために日夜、力を尽くす所存であることを信じてもらいたい。自由は、基本的原則である。往来の自由、国内のあらゆる場所で道を歩く自由、起業する自由、政治思想、宗教の自由、自分の意見を持ち、それを伝える自由、選択する自由、選択を尊重する自由。

多様な意見、様々な肌の色、多様な指向を持つブラジル。これが、我々、すなわちブラジルで生まれた、あるいはブラジル人の心を持つ人々全員の国である。

自由を擁護する者として、私は、自らの義務を果たし法を順守する市民の権利を支持し、保護する政府を主導する。法は皆のもので、皆が守るべきものである。我々の政府は、憲法に基づく、民主的な政府となる。

私は、勤勉なブラジル国民の力を信じている。国民の力と、政府、社会が一体となることで、より良い未来を築くことができるだろう。

私が信じる未来を築くには、国民皆が成長するための環境や条件を整える政府がなければならない。すなわち、国民皆が大きく前進できるよう、連邦機関はその組織の規模を縮小し、官僚制を撤廃し、無駄や特権を廃する必要がある。

我々の政府は、これまでのパラダイムを破壊する。我々は、国民を信じている。我々は、脱官僚化し、簡素化し、市民、事業家に対して、その未来を創造し、築き上げるためのより広範囲な自由を与える。

ブラジルを縛っている紐から、ブラジルを解き放とうではないか。

また、もう一つの壊すべきパラダイムは、政府、すなわち、連邦である。国民は皆、各市・群に住んでいるため、連邦の予算を、中央政府から直接、州、市・群に交付する。ブラジル連邦を立て直す。その意味で、ブラジリアへの集権を軽減し、国全体に視野を広げなければならない。

現在我々が基盤を作っているものの多くは、将来に大きな利益をもたらすであろう。富と繁栄が、現在と未来の国民の意図するものとなるよう、種をまき、土壌を潤すのである。新政府は、差し迫った必要性だけに対応する政府ではない。

我々が提案する改革は、ブラジル国民の新たな未来の建設に資するものである。私の言うブラジル国民とは、一方ではアマゾンの密林の中心で働くゴム採取労働者、他方では、自分の会社を興し、発展させるために汗を流す起業家である。我々はただ一つの国、ただ一つの国家である。従って、「南部のブラジル人」、「北部のブラジル人」などという区別はない。

我々は、民主主義の国である!

民主主義に基づく法治国家は、その柱の一つとして、繁栄の権利を掲げている。

世界の主要な民主主義国の基礎を成す、憲法に基づくこの原則を尊重し、擁護することを、私は今一度、明言する。

雇用、所得、財政均衡。国民への機会、労働の平等に近づくため、我々はこれらを約束する。

債務膨張の悪循環を断ち切り、赤字削減、債務減少、低金利という好循環への切り替えを図る。

それが、投資、経済成長、その結果としての雇用創出に繋がる。プライマリー赤字を、可及的速やかに黒字に転じさせなければならない。

これが、我々の目的である。

若者達には、私の心からの言葉を伝えたい。君達は、不透明感が国を覆う、経済停滞の時代を生きてきた。今こそ、耐える力が試されているといえる。現状は変わるということを、私は約束する。これが、我々のミッションである。次の選挙ではなく、次世代に目を向けた政治を実現する。

我々は、過去数年間にわたる労働者党政権下で、イデオロギー的偏向が浸透したブラジルと外務省を一新する。ブラジルは、先進国からの圧力を受ける状態から脱出する。

ブラジル産品に、経済的、技術的価値を付加する国との二国間関係の確立を模索する。我らが愛すべき国、ブラジルへの世界の尊敬を取り戻す。

ブラジル中を歩いたこの4年の間、「ボルソナーロ、あなたは私達の希望だ」という言葉が、幾度となくかけられた。

ブラジルの各地で人々と抱擁し、握手し、激励の言葉や意思表示を受けるたびに、私は、ブラジルの本来の地位を取り戻すという思いを強くした。

我々のプロジェクトは、我々と同じ目的を持つ人々全員のためのものである。

遊説先では、困難なこともあった。しかし、神と、ジュイズ・デ・フォーラの医師団の偉業で、私は生まれ変わった。力を合わせれば、この勝利に到達できるという信念を、私は失わなかった。

その信念をもって、私は今ここで誓う。「ブラジル国民全員のために、真に力を尽くす、誠実な政府を実現する」ことを。

我々は、大国である。この大国を、ともに、偉大な国家に成長させようではないか。自由で、民主的で、繁栄した国家を!

国が第一、全てを造り、治める神が第一!

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