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経済的自由権宣言: ブラジルにおけるビジネス環境の重要な変化について
September 23, 2019

ブラジルのボルソナーロ大統領は9月20日付で、ブラジルにおける「経済的自由権宣言」を定めた暫定措置令第881/2019号を裁可した。この暫定措置令は法律第13874/2019号として公布され、外国企業のブラジルでの事業展開において重要な影響を与えることが予想されるため、本宣言の重要な点について触れる。

本宣言は、契約、投資及び知的財産に関するブラジルの行政手続きに係るあらゆる規則の解釈基準を、経済的自由および善意とすることを定めている。本宣言は、(i) 経済活動実施の自由の認定、(ii) 国家に対する私人の善意の認定、(iii) 経済活動の実施に係る補助的且つ例外的な国家の干渉、(iv) 国家に対する個人の脆弱性の認定の4つを原則とし、ブラジルへの投資や事業展開において画期的な法的枠組みであると言える。

本宣言で保障される11の自由権(大統領裁可前は12であったが、1つに対しては大統領の拒否権が発動された)のうち最も重要なものの一つは、同法第3条IX号に定められている。過度に複雑な行政手続きと、公的機関における種々の申請の処理の遅れは、この措置で軽減が目指される障壁の一つである。同条項によれば、経済活動の実施に係る種々の許認可、承認、登録等を、民間事業者が公的機関に申請するとき、行政手続き上のあらゆる要件が満たされる場合は、当該申請の審査に要する最長の期間が申請者に通知される。この期間が経過し、当局が何らの意思表示も示さない場合、申請は許可されたことを意味する(ただし、法律で明示的に禁じられる場合はこの限りでない)。

その他、ブラジルに進出する企業や投資家にとって重要な権利として、ブラジル国内において技術的に新しい商品、サービス、ビジネスの開発を行う自由権が挙げられる。同法第3条VI号の規定によれば、現行規則が国際的に確立された技術的進歩により時代に即したものではなくなったときに、新製品や新たなサービス形態を開発し、実施し、取引し、又は市場で販売する権利が個人に与えられる。この規定に関しては近いうちに施行規則が定められる見込みで、具体的な手続きや条件、効果について明らかになることが予想される。この規定は、ブラジル国内におけるイノベーション開発を奨励する重要な規定である。

同法では、規制に関する規則も定められており、第4条では、煩雑な手続きの簡素化と国家の行為の画一化に関する重要な規定が確認できる。同条は国家の規制権力の濫用を禁止し、国家が規制行為によって特定の経済グループや個人に対して特別の待遇を与えることで、競合他社が不利益を被ることを回避することが目的とされる。また、国家が (i) 新規事業者(内資、外資を問わない)の市場参入を妨げる、(ii) イノベーションの実施や新技術の導入を妨げる又は遅らせる、(iii) 公共政策で望まれる最終的目標の達成に不必要な技術的仕様を定める法律、規則、命令を発布することを禁じる規定もある。

本宣言は、ブラジルの行政手続きの遅れによる不利益の回避を保証するものともいえる。第4条VI号は、国家が不適法に商品、サービス又は職業上の活動に対する何らかの人為的又は強制的要求(公証人の認証や登記を含む)を行うことを禁じており、この規定により、これまでブラジルでビジネスを行う上で煩雑な行政手続きが障壁となっていた状況が打開されることが期待される

本宣言の規定は即時に適用され、行政手続きに係る問題の解決を容易にする手段として用いることが可能である。

当事務所は、ブラジルに事業進出する外国企業へのサポートに関して幅広い経験を有しています。本件に対するお問い合わせ、本法律の英訳をご用命の場合は、info@lickslegal.comまでメールにてご連絡ください。

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