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ブラジルもついに「5G」の時代突 入か―法律第13.879/19号を解説
October 24, 2019

2019年10月4日付で法案第79/2016号が大統領により裁可され、法律第13.879/19号として成立した。法律 第9.472/97号(一般電気通信法)、法律第9.998/00号(通信関連基金法)を改正するこの法律は、電気通信 分野の新たな法的枠組みとなる。その目的は、「5G」(第五世代移動通信システム)の導入であるが、それ以 外にも以下4つの点が特に重要と考えられる。

第一に、「復帰財産」(注:コンセッショネアがコンセッション契約終了後に政府に返還する財産)の新たな 定義が確立されたことで、コンセッションから民間部門への移管における法的安定性が高まった。民間部門 への移管においては、その経済価値が政府により計算され、その価値に相当する金額がブローバンド普及 事業に投資される。また、固定音声サービスなど時代にあわない法的規制を廃止する規定も設けられ、通 信産業の発展のための資金調達を可能にする、近代化な変更をもたらすものといえる。


第二に、民間事業者が(自身が保有する)無線周波数スペクトルの販売や貸与を行うための市場の創設が 認められた。取引の方式はANATEL(国家電気通信庁)の規制に依存するものの、この変更により、5G帯域幅 が拡大され、2020年後半に予定される競争入札における徴収額の増加が見込まれる。

第三に、国の衛星の開発権を事業者に付与するための入札の実施義務が廃止され、継続的な延長の可 能性が定められた。これに伴い、国際電気通信連合(UIT)への軌道上の位置確保の申請を制限する法的制 限は廃止され、権利付与期間終了後も投資レベルが維持されることが期待される。この一連の変更により、 軌道上のブラジルの衛星の数が増加することが期待される。

第四に、公共および民間の電気通信サービスの総営業収益の1%相当を通信関連基金(FUST)に納付する ことが定められた。ジュリオ・セメギニ科学省事務次官によれば、調達された資金は、サービスが行き届い ていない地域における光ファイバーのバックホール、北部と北東部の接続、国家の安全と防衛に重要な通 信システム、データ・海底ケーブルセンターの設置、Gesac(電子政府による市民へのサービス)プログラム、 「持続可能なスマートシティのための国家プログラム」、PERT(電気通信ネットワーク構造計画)の実行資 金となる。

民間部門への移管に際しては、競争の少ない地域においてネットワーク容量の譲渡を伴うサービス提供を 維持し、大容量ネットワークインフラへの投資を確実に行う(確実な履行の保証の提示が義務付けられる) などといった要件の遵守が事業者に義務付けられる。

無線周波数の権限付与、民間移管のいずれにおいても、サービス提供の条件に適合させる必要があり、セクターの事業者はこの点に留意する必要がある。ANATELは、新たな規制モデルの有効性を保証するた め、来年にも新法の施行規則を制定するとみられる。

従って、セクターの事業者と今後の市場参入者は、ANATELが定める施行規則に留意するのはもちろんの こと、5Gネットワークの開発とその全国への普及、モノのインターネット(IoT)やマシンツーマシン(M2M)の 導入を推進するために設計された規制、法律および規範のエコシステムをフォローすることも肝要である。

今後も、法整備の動きに注目しながら、官民の取組みと投資を調整することでブラジル国内のブロードバ ンドへのアクセス拡大を目指すPERT等の重要な法案、無線局設置の入札プロセスに固有のコストを軽減ま たは廃止する法案(移動局設置に課される負担金および設置検査料の徴収を廃止する法律第7.656/2017号が その例)の可決に向けて働きかけていくことが重要である。現在は投資機会が生まれやすい状況であるが、 投資機会を利用するには、ブラジルの電気通信セクターの新たな規制モデルを注視することが重要となる。

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